低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)とは?初心者にもわかりやすく説明します。

ポリ袋がビニールじゃないって知ってましたか?

スーパーやコンビニでもらうあの透明な袋。多くの人が「ビニール袋」と呼んでいますが、実はあれ、「ポリエチレン」というプラスチックからできていることがほとんどなんです。ビニールではないのですよ。

ポリエチレンには、大きく分けて2つの種類があります。それが「低密度ポリエチレン(LDPE)」と「高密度ポリエチレン(HDPE)」です。名前は似ていますが、その性質は全く違います。この2つを、身近な製品を例にしながら、わかりやすく解説しますね。


1. 柔らかくて、透明なのが「低密度ポリエチレン(LDPE)」

低密度ポリエチレン(LDPE)は、その名の通り「密度が低い」プラスチックです。分子がバラバラと枝分かれしているため、柔らかく、フニャフニャした感触が特徴です。

イメージは「柔らかい袋」「ツルツルの袋」

  • 食品用ラップフィルム: ぴったりと密着して、透明なフィルムです。
      ※サランラップは(PVDCポリ塩化ビニリデン)でこれに相当しません。
  • スーパーなどでお魚を入れて売ったりする袋。 野菜ではなく水分の多い魚などを袋に入れる時、破れると困りますね。
魚が入った画像
ニコニコ
ニコニコ

この場合高密度ポリエチレンの袋を使うと、尖った部分でスーと裂けることがあります。
水が漏れたら大変です。透明度もあるので中が良く見えます。

  • ジッパー付き保存袋: 口にチャックがついており結ばなくても閉めることができます。
ジプロックの中に野菜が入った画像

LDPEは、こうした「柔らかさ」と「透明さ」が求められる製品によく使われています。触ってみると、しっとりとした感触があります。


2. 硬くて、シャカシャカ音がする「高密度ポリエチレン(HDPE)」

一方、高密度ポリエチレン(HDPE)は「密度が高い」プラスチックです。分子が規則正しく並んでいるため、硬くて丈夫なのが特徴です。触ると少し硬く、触ると「シャカシャカ」という音がします。透明度がなく半透明です。

イメージは「シャカシャカ袋」

  • レジ袋: 薄くても丈夫。強度に優れています。LDPEに比べて硬さがあり、耐衝撃性にも優れた素材です。
ニコニコ
ニコニコ

同じ厚さのものを低密度ポリエチレンでレジ袋を使用すると伸びがいいので持ち手が伸びたり、破れたりします。

レジ横のロールポリ
  • シュレッダー袋: 軽くてかさばるゴミに最適です。(コスト削減)

HDPEは、こうした「丈夫さ」や「硬さ」が求められる製品に大活躍しています。


なぜ「ビニール袋」と呼んでしまうの?

実は「ビニール」という言葉は、「ポリ塩化ビニル」という別の種類のプラスチックを指します。昔の製品には、このポリ塩化ビニルが使われることが多かったため、その名残で「ビニール」と呼ぶ人が多いのです。

でも、最近のポリ袋は、リサイクルしやすかったり、より軽く作れたりする「ポリエチレン」が主流になっています。

こちらからはもう少し掘り下げてみましょう

低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)の違いとは?

プラスチック素材は、私たちの日常生活に欠かせない存在です。中でも、低密度ポリエチレン(LDPE)または(LLDPE)高密度ポリエチレン(HDPE)は非常にポピュラーな素材ですが、それぞれどのような特徴があり、どのように異なるのでしょうか?ここでは、これら2つのポリエチレンの違い、用途、そしてそれぞれの特性について詳しく解説します。

LLDの袋とHDの袋

低密度ポリエチレン(LDPE)とは?

LLDPE

低密度ポリエチレン(LDPE)は、上の写真にもあるように柔軟で透明性のある素材です。その最大の特徴は、分子の配列が比較的ランダムで、密度が低いことです。このため、耐衝撃性や柔軟性に優れ、しなやかな製品を作りやすい特性があります。

二つを写真で比べてみましょう。

LDPEとHDPEの袋の透明度の違い

写真でもわかるようにLDPEの方は透明度があり艶があります。

LDPEはHDPEに比べて艶があり伸びがあります。しかし、同じ厚さでは低密度(HDPE)の方が丈夫です
HDPEに比べて「つるつるタイプ」と呼ばれるのは表面がツルツルしているからです。
透明度があるので中身が見えやすいです。(もっと見えやすく透明なのはPP素材です)

伸びの実験

ごみ袋に指で刺してみましょう

ポリ袋に指を突き刺してみる
指でぎゅーと押します

LDPEは伸びて突起ができました。

LDPEの伸びの様子

HDPEは破れてしまいました。

HDPEの破れ

しかし、引張強度はHDPEの方が強いです

用途

LDPEの袋の主な用途としては、食品包装やゴミ袋などが挙げられます。柔軟性を求められる製品に多く使われています。

密度

LDPEの密度は約0.91〜0.93 g/cm³であり、HDPEに比べて低いため、柔軟性が高く、扱いやすい素材となっています。

高密度ポリエチレン(HDPE)とは?

HDPEのポリ袋

高密度ポリエチレン(HDPE)は、LDPEに比べて分子の配列がより規則的で、密度が高いポリエチレンです。その結果、強度や耐熱性、耐薬品性に優れています。また、LDPEに比べて硬さがあり、耐衝撃性にも優れた素材です。

よく一般にシャカシャカタイプとよばれるのは、触るとシャカシャカと音がする袋だからです。わかりやすいのはスーパーの野菜の横に置いて自由に使える野菜を入れるあの袋です。

薄めのごみ袋などにも使用されています。

特徴

HDPEは強度が高いため、薄くても丈夫な袋として、LDPEに比べてコストを落とすことができます。薄い袋にHDPEが使われるのはこの特徴を生かしたためです。強度が求められるゴミ袋などにも採用されています。

ただ強度が高いといっても突きさしには弱く、角のある箱などを入れてピッと裂けてしまった経験はありませんか?LDPEに比べて伸びが悪いので突き刺しに弱い欠点があります。

耐熱温度と融点

HDPEの耐熱温度はLDPEに比べて高く、約120℃程度まで耐えることができます。融点もHDPEの方が高く、130〜140℃の範囲です。これにより、熱にさらされる環境での使用にも耐えられる製品に適しています。

低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの違い

低密度ポリエチレン(LDPE)高密度ポリエチレン(HDPE)の主な違いは、密度、強度、耐熱性、そして柔軟性です。LDPEは密度が低く柔軟であるのに対し、HDPEは密度が高く、強度や耐熱性が優れています。また、LDPEは柔らかく、主に柔軟性が必要な用途に使われますが、HDPEは硬く、耐久性が求められる製品に使われます。

薄い袋はHDPEが多く、厚めの袋はLDPEが多いのはその特徴を生かしてあるからです。
(厚い袋(0.04mmほどの)のHDPEはゴワゴワして口を結びにくい場合があります)

  • コストを下げて、薄めの袋で丈夫さを求めたい場合はHDPE
    ちょっとゴミを入れて捨てたい袋
    かさが大きくても軽いゴミを入れる袋
  • 柔らかく伸びる素材をお求めの場合はLLDPE
  • 尖ったものを入れる場合はLDPE
  • 厚い袋をお求めならLDPE

LLDPE

LDPEと呼ばれるものは最近LLDPEに代わってきています。

LLDPEは、LDPEに比べてシール性や物理的強度に優れ、新しい主原料として使用されています。また、LDPEと比べて分子量分布が狭く、強度が高く、透明性にも優れています。

LLDPEは「リニアローデン」や「LL」とも呼ばれ、HDPEとLDPEの中間のようなフィルムです。

LLDPEとLDPEは製品を見ただけでは中々判別がつかず、また材質の表記としても「LLDPE」のことを「LDPE」や「PE」と更に簡略化して表記される場合もあります。

メタロセン配合

LDPEに強さをUPさせるため、メタロセンという触媒を使用して製造された樹脂を配合してより強くやわらかな素材を作ることができ、柔らかく薄い素材ができます。

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捨て方

LDPEとHDPEは、どちらもリサイクル可能な素材です。ゴミ袋や包装材などで使用されるLDPEは、リサイクルの際に分類が必要ですが、適切に処理されれば、新しい製品として再利用することができます。一方、HDPEは、リサイクルの際に再加工が容易で、特にペットボトルや容器などに再利用されることが多いです。どちらも、地域のリサイクルルールに従って適切に廃棄しましょう。

まとめ

低密度ポリエチレン(LDPE)高密度ポリエチレン(HDPE)は、どちらも私たちの生活に欠かせないプラスチック素材です。それぞれの特性を理解することで、適切な用途に使い分けることができます。LDPEは柔軟で透明性が高く、主に食品包装やゴミ袋に適していますが、HDPEは強度や耐熱性が必要な製品に使われています。